カートリッジフィルターもいろいろあります。

昨日のことですが、お客様から1本の電話が…

『フィルターを交換して、ポンプ循環を2時間くらいしてるんだけれど、溶剤がキレイにならない。なんでだろう?フィルターはずっと、同じものを使用している。今まで、こんなことは無かった。どうしたら良いのだろうか?』

バルブ操作は間違っていない。カートリッジタンクのエア抜きバルブも閉まっている。稀に、フィルター自体の不良という可能性もありますし、すぐに確認に行きました。

ひと通り、機械を点検して問題はない様子、フィルター自体の可能性もあるので、液を落としてフィルターケースを開け、フィルター自体を確認したところ、外観上全く問題ない。

フィルターも業界では古くからかなり実績のある白鷺エレメントDC(日本エンバイロケミカルズ社製※旧武田薬品工業)なので、製品の品質的にも問題ない。

う~ん、なんだろうね~???(゜o゜; しばし、いろいろ考えて…あっ、そうか。!(^o^)!

私 : 『ずっと同じフィルターですね。』

お客様 : 『そうだよ、ウチは変なの使わないよ!』

私 : 『なるほど、謎が解けました。』

お客様 : 『えっ、何なの??』

私 : 『フィルターの中の活性炭には色々な種類があって、この白鷺エレメントは木質系の活性炭なんです。それと、脱酸剤としてアルミナが少々、脱水能力はあまり期待できないんです。試しに、溶剤の酸価と水分を測ってみましょう。』

お客様 : 『そんなの測れるの??』

私 : 『簡易的ではありますが、簡単に測れますよ。』
酸化測定キット(マルソー産業)、水分測定キット(共立工業)を取り出して、測定方法をご説明しながら、お客様の前で測定してみました。

結果、酸価は 1.0以上。水分は 1000ppm(o.1%) という結果でした。
コレにはお客様もびっくり。(*_*;
(※希望値=酸価 : 0.3以下。水分 : 500ppm 以下。)

お客様 : 『これって、かなりマズイ状態ですよね。どうしたら良いの?』

私 : 『本来ならば、溶剤を交換した方が良い状況です。しかし、今すぐはできないので、脱酸・脱水能力の高いフィルターに交換しましょう。水分はタオルケットを入れて、毎日洗って水抜きしましょう。』

私 : 『フィルターにも色々ありまして、弊社では2種類用意しています。AタイプとBタイプで、それぞれ特長があり、お互いを補完し合っています。この2数類を併用することが望ましいと思います。』

Aタイプ = 脱酸・脱水能力に優れた天然アロフェンを原料として、活性炭を練り込んで顆粒状に精製したものなので、色も酸もバランス良く除去します。遅効性で徐々に性能を発揮するタイプです。(鉱物系ミックス)

Bタイプ = 主に脱色性能に優れて、即効性があり、フィルター交換後、素早く溶剤を浄化します。(木質系がメイン)

普段、溶剤の色を基準にフィルターやカーボンを交換していると思いますが、溶剤には見えない汚れが溶け込んでいることを意外と見落としています。今回は比較的、脱酸・脱水性能の効果の弱いフィルターを長く使い続けてきたことに起因しているように思います。また、夏物をたくさん洗った後ですので、衣類からの水分や汚れにより、溶剤の酸価、水分がかなり上がっていたことによる着色ではないかと考えられます。

カートリッジを交換して、しばらくポンプ循環をしていると、色も取れて、透明感も増してきました。

カートリッジフィルターの中身については、解らない、知らないという方がほとんどだと思います。
私達、機材商がもっとお客様にキチンと説明して、その商品の特性についてご理解頂くことが大切だと再確認しました。
また、メーカーさんも、企業秘密まで公開しろとは言いませんが、もっと情報を開示していただけたら、と思います。

正しい資材を正しく使う。これが高品質づくりの基本だと思います。

作業を終えて、最後にお客様にも『今回はスゴく勉強になりました。これからは、酸価、水分を定期的に測定します。』と、大変喜んでいただけました。

もちろん、私どもでも溶剤の分析をさせて頂いております。しかし、クリーニング店がご自身でも、今現在の溶剤の【酸価】と【水分】を定期的に測定することは絶対に必要なことだと思います。是非、この測定キットは1社に1セット置いて頂きたいと思います。

兎にも角にも、問題が解決できて、お客様に喜んでいただいて本当に良かったです。

これからも、品質向上のための資材を供給し続けていきたいと思います。

長文になりましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。m(_ _)m