キレイな溶剤で洗いましょう!

繁忙期に入り、冬物衣料が増えドライ機が大活躍ですね。

この時期こそ、キレイな溶剤で汚れをスッキリときれいにして、イヤな臭いのしない洗いを心がけましょう。正直、これだけ需要が落ちている原因は、 キレイな洗いが出来ていないことに一因があると私は思います。今回は、溶剤管理のことを少しだけお話しします。

溶剤管理の基本は、適正なタイミングでカートリッジフィルターを交換することです。それでは、適正なタイミングとはいつなのでしょうか。あくまで、目安ですが、470タイプのフィルター1本で1,000㎏処理出来ると考えて下さい。20㎏のドライ機であれば、通常、その6~7割の負荷で洗うはずですので、1回の洗浄で12~14㎏洗います。と言うことは、1,000÷14で、約71回です。

470のフィルター1本で約70回分使えます。20㎏タイプのドライ機ですと、470フィルターを4本使用していることが多いと思いますので、70回×4本=280回になりますね。

私は、いつもお客様に『20㎏のドライ機は300回でフィルターを交換して下さい。』と言っています。これを言うと、『えっ、そんなに早く交換しなければいけないの』、という声をよく聞きます。実際に、酸価、水分、溶剤へ溶け込んだ汚れを適正な数値に管理して、きれいな洗い上がりをご提供するためには、まずは、カートリッジフィルターを適正なタイミングで交換することしかありません。蒸留器や別置きの溶剤清浄装置を置くことで、フィルターは長持ちします。でも、それを設置すること自体、購入費用が発生しますし、さらには、新しく設置した装置自体の管理をしないといけないので、作業自体が増えることになります。(フィルターの能力の限界を補う目的で、蒸留器は設置したほうが良いと思いますが…。)

それと、今お使いになっている、カートリッジフィルター自体も、どんな材料を使用して作られているのかが重要です。大雑把に言うと、カートリッジフィルターは、ろ紙と吸着剤から出来ています。ろ紙がチリ、ホコリなどの不溶性の汚れを取り除き、中身の吸着剤で色、脂肪酸、臭い、水分、溶剤に溶け込んだ汚れを吸着します。今、お使いになっている、カートリッジフィルターの吸着剤について、どんな組成になっているのか、ご確認下さい。ご自身が使っている資材の中身を知らなくては、大切なお客様の衣類を洗うことは出来ないはずです。

フィルターの中には、活性炭(カーボン)が入っていると言いますが、それでは、活性炭は何を吸着するのでしょうか?活性炭は、主に、色と臭いです。水分と脂肪酸はほとんど吸着してくれません。それでは、水分と脂肪酸は何で取り除くのでしょうか?活性炭と一緒に脱水・脱酸効果のある、シリカゲル・アルミナが入っており、これで、水分と脂肪酸を吸着します。こういった、組成についても絶対に知っておく必要があると思います。

繁忙期になると、忙しさにかまけて、ついつい使い過ぎてしまいますよね。
『忙しくて、夜も遅くまで仕事して、朝早くから洗って、そんな暇がない、頻繁に交換できない。』という声をお聞きします。確かに、気持ちは十分わかります。でも、こう考えて下さい。例えば、300回で交換するところを100回超えて、400回洗ってしまった。その時点で交換したら、100回分余計に溶剤は汚れていますので、次回は200回で交換しなければいけません。今回、通常通り300回使用したら、どうなりますか?汚れは、どんどん溜まっていきます。フィルターさえ交換すれば、どんなに汚れた溶剤でも綺麗になるという考え方はおかしいと思いませんか?吸着剤の吸着できる汚れの量には限界があります。その限界を超えると、もちろん、それ以上汚れを吸着しないばかりか、溶剤を循環して、吸着剤を刺激している訳ですから、吸着された汚れを逆に吐き出し始めます。こんな溶剤で洗っていると、お客様の衣類の汚れを付けてお返ししていることになります。

どんな良い資材でも、使い方を誤ると全く意味が無いか、逆効果になります。まずは、用途にあった、正しい使い方をしましょう。この時期になると、とにかく忙しいので、管理を怠り、溶剤が汚くなって、汚れは落ちない、臭いはするし、シワも伸びない、結果、生産性も落ち、コストアップしてしまう。挙句の果てに、お客様を失ってしまう。この、負のスパイラルに陥らないよう、気をつけましょう。

溶剤管理については、また色々と投稿していきたいと思います。
また、ご意見、ご質問、なんでも結構ですので、メールやfacebookの方からでもお気軽にお問い合せください。